続・おいしい報酬の落とし穴

 船長日誌 西暦050314 10.23

 マルセイユに留まって酒場でミルク呑んだくれてても仕方ないので、傷心もいえぬまま出航。故郷ロンドンを目指す。大海戦と称するイスパニアによるカサブランカ侵攻という事態が勃発していたらしく、帰省の途中の海域が戦場になっていて通りがかった無関係の多国籍民にとってはかなりはた迷惑な事件だ。
 イングランド国籍のギガノスの蒼き鷹(仮名)さんが戦場で「戦闘なんてくだらないぜ、俺の歌を聞けー!」と戦場ライブを行い平和を訴えていたのが印象的だ。でもそれあなたのキャラ違います。笑。
 風の噂で聞いたところによると仕掛けたイスパニア側が3度仕掛けて3度壊滅状態という惨憺たる結果だったようだ。戦力差を読めない無能な為政者を持つと国民は苦労するな、お願いだからうちの陛下も血迷って無謀な戦役に乗り出しませんように。

 ロンドンに帰りついたところ社長から商会を設立した旨の連絡が入り、登録すべくアムステルダムへ。商会登録所に出向き、社長が代表になっている商会をリストから探す。あった。「秘密結社猫まっしぐら」商会名わたしの案が採用ですか。思いつきで発言したのがまさか決定稿になるとは思いませんでしたよ。ちなみに語感だけで思いついた名前なので深い意味は無し!イメージ的には「野獣のように獲物(餌)に群がる子猫の群れ。」笑。
 とりあえずよろしくお願いします。というか昨日商会の話したとき考えたこともなかったとか言ってたのに社長、対応早っ。

 商売するなら断然ロンドンだけど、のんびりするにはちょっと。そんなことを考えながらアムステルダムの交易ギルドに行くと総督官邸から麦酒200樽集めて来いという無理難題をふっかけられギルドの危機らしい。手間の割には手頃な報酬なのでさっそくこの仕事を請け負い、ロンドンに向かい麦酒を調達することにする。何度かロンドン←→ロンドン沖の往復を繰り返すとあっさり200樽調達完了した。残り日数26日。
 なんだかきついと聞いていたのに簡単に終わったので拍子抜けだ。手に余るようだったら応援を呼ぼうと思っていたのに全然問題なし。さっさと届けるべくアムステルダムへ戻ると残り24日。やはり船の積載量が以前に比べ大幅に向上したのと、買い付け先が自国で優遇されたというのが大きかったんだろう。

 031205 182646.jpg 早速届け先の総督官邸へ向かうと門前払い。またかよ!ふふふ、しかし前回マルセイユ王宮を訪れる際に購入した提灯ブルマと羽つき帽子はまだ手元にあるので何も問題ない。いそいそと恥ずかしい格好に着替え誰にも見られないようにこそこそと衛兵に用件を伝えた。しかしなぜかまた追い返される。
 なぜ!?・・・あ、先日の仕事終えた後にグローブをマルセイユ酒場のおねぇさんにプレゼントしたから今、素手になってる。ま、まさか手袋してるかどうかで通してもらえるかどうか明暗わけるとは。泣。

 常日頃であればさっさと買いに行くところであるが、今回は日数制限ありのひじょーにやっかいな仕事を請け負っている為、往復で間に合うか微妙な日数しか残っていない。無理はしない主義なので、暇そうにしていた(※あくまでも主観で実際は発掘のために地中海方面へ移動中)社長を捕まえ、グローブの買出しをお願いし、快く引き受けてもらった。
 待つ事数日、グローブ到着。もとい社長到着。グローブだけでは不安が残る為、先日社長が購入したという音楽家カツラもついでに借り受け、再び総督官邸へ向かう。

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 今度はさすがに問題無く衛兵も通してくれた。

 さすが音楽家ご用達カツラ。ありがとう社長!この借りはいつかきっと返します。なんかいつも一方的にお世話になってばっかりだけど。そのうち。なんとか。出世払いで。返せるといいなぁ。汗。

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 そして苦難(※自己主観)の末、バルネフェルト議長に会見することができたので、用件を切り出す。忙しいと追い返される。死。

 ちょっと待てぃ!?現状可能な手を全て打って正装も社交性も問題ないと自負していたのに、こ、これで相手してもらえないなんてどういうことだ?と動揺を隠せず慌てふためく。マルセイユで王宮に潜り込むことができる状態に加え、今回はカツラまで借り出してブーストしていたというのに、最後に受け取ってもらえないという事態になるとは全くの予想外だ。

 落ち着いて深呼吸。今回の依頼は確かに難度高めで完遂すれば一人前と認められ商人転職状が手に入るという仕事だ。が、しかしこんなキツイ仕事だとは断じて聞いてない。何が手がかりは無いか、改めて依頼の内容を確認してみた。

 ・・・届け先を間違っていた。本来の届け先は交易ギルドのギルドマスター。

 副長と執事のパーカーが二人して「商人ってのは契約書とかきっちり確認するもんですよね?」「そういえばお嬢様は幼少のみぎり通信簿に人の話を聞かないとか落ち着きが足りませんなどとよく書かれておられました。」等と聞こえよがしに囁きこっちを見る視線が痛い。仕方ないので笑ってごまかす。ごまかせたと思う。たぶんきっと。

 無事麦酒200樽を届けることができ報酬と転職状を受け取り、お世話になった社長に借りていた音楽家ご用達カツラを返却し、お礼を述べ今回の顛末を説明したところ案の定、笑われてしまった。うぅ、今回は何も言えない。泣。「こいつ、あわてんぼうだな(微笑」「てへっ(照笑」なんて虫唾の走る展開にならなかっただけ救われるが。

 その後、社長に付き合ってもらい、冒険者ギルドで冒険者転職状が報酬の依頼が出されるのを待ち、10日程通いつめるが一向に求人が出される気配は無くあきらめ、社長にお礼を言ったのち社長は当初の地中海方面の発掘へ、わたしはロンドンで売り物の仕入れに向かった。

 しばらく交易所に仕入れに通っていると街中で冒険者ギルドの転職状が手に入る依頼を紹介してあげると言ってくいる人を発見、金儲けの算段はひとまずおあずけ。全力疾走でその方の所に赴き、挨拶もそこそこにお願いし無事依頼を請け負うことができた。内容はロンドンからリスボンのギルドへの書簡の配達だ。
 紹介してくれた方にお礼を言った後、補給を済ませ一気にリスボンへ。
 何事も無く到着、期限までの日時をかなり残した状態であっさり依頼完遂。噂は聞いていたがこんなにあっさり冒険者転職状もらえるなんて商人の転職状取るのとはえらい違いだ。楽だからいいけど。

 その後、ロンドンに帰るのももどかしいのでリスボンの酒場に向かい、代理報告を頼み報酬と転職状を受け取るとその足でまた冒険者ギルドへ戻り、ギルドマスターに挨拶し釣り師へと転職完了。念願の操帆の心得を教えてもらうことが出来た。

 操帆を使い、おお、速い!とうきうき気分でロンドンへ向かっていると途中で、皮革を仕入れておくつもりだったことを思い出し、進路変更オボルドへ。街が見えてきた。だんだん街が近づいて大きく見えてきた。微妙にずれているので針路変更。街が近づいて大きく見えてきた。曲がれない。進路変更。街が近づいて大きく見えてきた。曲がれない。陸地が近づいてきた。針路変更。曲がれない。

 そのまま陸地に激突。幸い船に目立った損傷は無かったものの、あわてて転舵を試みる。が、操帆効果のおかげで帆は全開。風に乗ったままの状態で陸地沿いにがりがり船はすすんだので案の定、がりがりと嫌な音を立てつつ座礁

 いままで色々な原因で一日一座礁のペースでそろそろ途絶えるかと思ったところだったがどうやら記録はまだまだ伸びそうだ。無念。

 おかげで毎度毎度、修理代が結構な金額に。泣。