おいしい報酬の落とし穴
船長日誌 西暦050313 01.25
このところのロンドンの人口増加に嫌気が差し、人ごみを避けて程良い人口密度のアムステルダムを訪れた。交易ギルドに行ってみるとロンドンのギルドに比べ報酬の良い仕事が多い。何気にストックホルムもロンドンに帰る身にはおいしい仕事が多かったりするがどういう基準なんだろう。
それはさておき報酬の多い豊富な選択肢の中でも恵まれた環境になるとえり好みするようになるもので、他に比して楽かつ金額の高いマルセイユ在住のギース公爵にタイム(香草)の配達の仕事を受けた。今、思えばこの甘い考えが間違いの始まりだった・・・。
先日、船を乗り換えて日数も以前より比較的かからなくなったので、途中の補給は少なめにし一気にタイムの仕入先パルマを目指す。何事も無くパルマ到着。肝心のタイムは相場が高騰しており、前金でもらった分で支払うには赤字だが必要な数は3株のみだ。仕事をやり終えれば報酬の後金がたんまり貰えるので赤字でも大した損失ではない。相場の1.4倍くらいではあるがさっさと購入することにし、交易所の親父と値段交渉。言うまでも無いが交渉決裂。足元見られたままそのまま購入し、すぐさま目的地マルセイユへ向かう。いつものように定番の負け犬モードの捨て台詞の残しながら。
マルセイユ到着。相変わらず無駄に広い街だ。地理の把握が苦手なわたしとしてはたまにしかロンドン以外の他の街うろつくことはめったに無いのでいつまでたっても覚えず毎回毎回迷子になってしまう。どこかに街中のガイドマップでも無い物か。
それはさておき、ギース公爵のいる王宮へと向かったところ門番に胡散臭いと思われたらしく、門前払いを喰ってしまい、あわてて手持ちの礼服を身にまとい身なりを整えたが、それでも追い返されてしまった。がっでむ。仕事頼んだ癖に追い返すとはどういう了見なんだ!
門番に食って掛かっても無駄だということを悟り、身なりを整えるべくジェノバへと向かうことにする。着いたところはなぜかジェノバの南に位置するピサに到着。「恐ろしい、これが噂に聞く磁気異常というやつか!(驚愕」「違うだろ(ぺしっ」等と副長と不毛な会話をしててもしょうがないのでさっさと出航しジェノバに到着。
一番身なりが良く見える服となると提灯ブルマになってしまう。わたしの趣味からはかなり外れているが仕方ない、試着してみたがやっぱり恥ずかしい。商人たるもの仕事のためなら私情は捨てるべしと諦めて購入する。でも普段は船内の自室の奥に仕舞い込みよっぽど必要にならない限り人前では絶対着ないと心に誓う。誰だこんな悪趣味なデザイン考えたヤツは。縛りクビにしてしまえ。泣。
マルセイユに舞い戻り再び王宮へ。しかしまた門前払いにあってしまう。ムキー!!既に提灯ブルマの衣装代だけで赤字確定してるというのに。もはや後には退けなくなった。更に身なりを整えるべく高級帽子が売られているロンドンへ戻る。
ロンドンに着きその足で帽子を買いに道具屋へ走った。が、肝心の帽子は売ってなかった。
!?
少々混乱したがどうやら勘違いしていたらしく、改めて調べてみると目当ての帽子が売られているので一番立地条件のいいところはパルマということが判明した。ちょっと待て、それって依頼受けて行きがけにタイム仕入れたところじゃないか・・・。どっと疲れが出たが半分泣きながらパルマにて帽子購入マルセイユへ。
やっと入れてもらえた。
しかし帽子かぶっているか否かだけで追い返されてしまうというのは納得がいかん。
もっとも最初の格好はともかく提灯ブルマにターバンというあからさまに怪しいヤツ来たらわたしが門番でもさすがに追い返すとは思うが。
なんとかギース公爵に会うことができ依頼を達成。はぁ、パーティ開くのに必要だった?ちょっと待てぃ、マルセイユから数日の距離で買ってこれるのにそんなくだらない用件の為に産地でもない二週間以上かかる場所のギルドに依頼したんかい。しかも実際にはあっちこっち往復繰り返してたから、二ヶ月以上かかってるんだぞ?納得いかーん。泣。
うさを晴らしにその足で酒場へと向かい、酒場のおねぇさん達と仲良く談笑。壊れかけ寸前のグローブなぞプレゼントし仲良くなった。おお、仕事の報告を代理でしてくれるというちょっとだけ心が晴れた。
財政的には今回の仕事、高額報酬だったにも関わらず経費が報酬の4倍近い金額がかかったからとんでもない大赤字だけど。
・・・うわーん、やっぱ納得いかねー。お高く止まった貴族なんか大嫌いだー。泣。