うちゅーのうみーはー

 船長日誌 西暦050223 22.00
 うちゅーのうみーはーおーれーのーうみー。うちゅう違う、ただの海。というかうちゅうってなに?
 それはそれとして欧州ファッション界を牛耳るべく、イングランドのロンドンに降り立ったわたしは、身体の自由が利かず、いきなり壁に向かって走り出す。まるで何かに憑かれたかのようだが、心当たりは無い。(※マニュアル読んで無かっただけです。)
 商人ギルドの頼まれごとをこなしていると、旧知の友人数人とめぐりあい、久しぶりに旧交を温める。

 ロンドン市街で出来ることは全て終わったので、ドーバーへの配達の仕事を受ける。さっそく交易商人に会い、まとめて買うからすこしまからん?と商人らしく値切り交渉に挑む。・・・すげなく断られ記念すべき緒戦は0勝1敗。
 しかたないので向こうの言い値でビール購入。旧知の友人達も一緒に向かうとのことで、一人では心細かったのでありがたく同行することにし、いざ大海原へ旅立つ。

 海に出たのはいいが、3秒で友人達とはぐれる。嬉々として艦隊組んだ意味が全く無い。声は聞こえど姿は見えず。なんとなく悲鳴が聞こえたような気もするが幻聴ということにして、とりあえず、こっちだろうという方向に船を進める。そのうちあたりは闇夜に包まれ現在位置や方向が全くわからなくなる。先に向かったらしい友人が座礁したとの緊急連絡が入る。
 ごめん、こっちも迷走中でぶっちゃけ余裕無い。と心の中で謝って必死に現在位置の把握に努める。心情的には大嵐の中、実際はただの闇夜。

 やっと朝が来た!と思ったら一緒に出た他の友人達からドーバーついたーとの連絡。・・・地図と陸地の地形、方角、現在位置などの情報を総合した結果、どうやら目的地を大幅に通り越していたらしい。大急ぎで方向転換、目的地へ直進で済むような安全確実な進路を取り、なんとか到着。水夫達は不満たらたらでトラブル起きる寸前だったらしい。何の経験も無い初心者船長にとってやはり海は怖いと実感。

 依頼の品物を引き渡し、手頃な交易品は無いものかと物色。酒が手頃な価格なので値切り交渉スタート!・・・0勝2敗。
 自分が本当に商人なのかだんだん自信がなくなってくるが、とりあえずあちらの言い値で買取る。他の友人達を探してみるととっくにロンドンへ戻っていたらしい。ちょっとだけせつなくなるが気を取り直し、大急ぎで本拠地ロンドンへと引き返す。

 積荷をさばくべく、交易商人の元へと向かい、強気でふっかけてみる。交渉戦歴0勝3敗。商人としても矜持がいちぢるしく傷つく。

 商人ギルドへ戻ってマスターへ挨拶すると商人登録証をくれた。さっそく念願の紡績商にランクアップ。万歳!と思ったのもつかのま、ん?優遇スキル覚えるのに金取るの?そんなお金無いよ?というわけで、結果的に単に見習い時に覚えていた会計以外の優遇スキルが優遇じゃなくなるだけに終わる。実は単にきつくなっただけのような気がしてきたが、そこはポジティブシンキング!・・・と思ったけど思っただけで何もプラス要素が思い浮かばない。値切り・ふっかけ交渉失敗つづきでネガティブな思考に支配されているようだ。

 気を取り直して、新しい依頼を受け目的地一路アムステルダムへ。とそのまえに交易品を仕入れていくのが商人の嗜み。というわけで交易所へ。勝負!・・・0勝4敗。
 絶対何か悪いものに憑かれてる。

 打ちひしがれつつ補給を済ませ出航、他の友人達と別れアムステルダムへの一路一人旅。嵐などのトラブルも無く順調な旅だと思っていたら、舵が効かないことが判明。必死で操作するも進路は全く微動だにせず、直進するのみ。最終手段ということで錨を下ろし停船しようとするが、とまらない。なぜだー!!と罰当たりにも半分神を呪いかけていたら、天罰なのか船が出発地点から程近いところに高速で引き戻される。何度かその繰り返しで諦めかけていたら、いきなり水夫頭から北海に入ったとの報告。やっと抜けた!と思ったら暗転、意識が途切れる。

 意識が戻るとあたりは見覚えの無い場所なことに気付く。大慌てで位置と方角を調べるとなぜかロンドン方向への進路を取ってることが判明。まだ行きがけなのに帰りの風景なんか見覚えなくてあたりまえだなと納得。直後にまた舵が効かず、迷走が始まる。いつの間にか噂に聞く呪われたバミューダ海域にでも迷い込んだんだろうか。・・・これは神が与えた試練なんだと無理やり自分に言い聞かせ、ひたすら大陸を目指し、水夫を励まし奮闘する。
 なんとか陸地が見え、街が見えたのでこの危険な海から逃げる事を最優先に、安全重視で見えた街に上陸することにする。

 どうやらここはアントワープという街らしい。とりあえず目的地とは違うが、無事に陸にたどり着けたことを神に感謝する。動かない地面がこんなに頼もしいと思ったのは正直生まれて初めてだ。

 気を取り直し観光でもするかと街中をぶらついていると、造船関連の職人を見かける。今の貧乏な懐状態ではひやかししかできないが、とりあえず話し掛けてみる。
 暗転。また意識が途切れる。
 意識が戻る。職人に話し掛ける。・・・返事が無い。暗転。意識が途切れる。
 意識が戻る。職人に話し掛ける。・・・返事が無い。暗転。意識が途切れる。
 意識が戻る。職人に話し掛ける。・・・返事が無い。暗転。意識が途切れる。

 ・・・明日はいい日でありますように。おやすみなさい。泣。