北欧見聞録 死闘編

 船長日誌 西暦050304 04.25

 うちの船では一度も喧嘩が起きたことも無いのに、それを沈める為の懲罰用ロープを延々作り続ける、しかも売っても赤字という生活に疲れたので故郷ロンドンに戻ることにした。
 ロンドンに帰り着いたその足で、コスプレ好きのエロ親父のところに挨拶に顔を出すと、話をしようとしつこくせがんでくるので仕方なく西欧旅行記を語ると、またも帰る頃には懐が暖かくなっていた。これでもし今着てる服が私立の水夫服とかだったらもっと沢山もらえてたのかな?などと、意味不明な考えが浮かぶあたり、やはり旅の疲れが出ていたんだろうか。たぶんそうだろう。

 元出は出来たので毎度ながら依頼をこなしつつ、ひたすら近所を廻りながら仕入れを続けたのはいいとして、さすがに水と食料を乗せるスペースすら怪しくなってきたので、ついでに遠方行きの依頼を受け、一路悪夢の地コペンハーゲンへ。

 ロンドン←→コペンハーゲンの直接航路で向かう予定だったが、無性にミルクが飲みたくなったのでハンブルグ経由に切り替える。気が付いたら予定の航路からだいぶ南に来てしまっていたからなんてことは全く無いと断言しておく。甲板長のボラルギはほんとですかい?と疑っていたが、うるさい、黙れ。貴様らだって酒奢ってもらえるんだからありがたく思え。

 一息ついたのでハンブルグ出航。いきなりの雨。久しぶりの雨天で嫌な予感がしたら本当に嵐がやってきて新人水夫のジョナサンが波に浚われた。常に最低人員で航海を続けるうちの船には痛い損失だが、自然の猛威の前に助けるすべも無く錨を下ろし、ひたすら嵐が通り過ぎるのを待っていると水夫のマクシリミリアンとガストンが波にさらわれたとの報告が入る。やっぱり港でひっかけた安月給で雇えるゴロツキはすぐ消耗するな。次に雇うときはもうちょっといぶとそうなのを雇おうと心に誓う。
 船もかなり危険な状態で、積荷スペース確保の為に資材を全く積んでいなかったこともあり、海の藻屑となるのも覚悟したが、なんとかそれ以上の被害が出ないうちに嵐が過ぎ去った。

 被害状況の確認を急がせ、波に翻弄された後の現在位置を確認すると、目的地までの行程の約2/5程度を進んだところであることが判明。嵐が過ぎ去る間に消耗した安ビールと乾パンの備蓄も、このままでは順調に航海が出来たとしても、もつかどうか微妙なところ。無理をせずハンブルグに引き返しミルクと生ハム食べてる間に、家令もとい副長のパーカーに水夫の補充と船の修理をさせることにした。
 休息を終え船に戻ると副長が予定していた補充3名のうち2名しか雇えなかった旨報告してきた。副長は消耗品の水夫とはわけが違うので労をねぎらい、このまま出航するように命じる。

 無事コペンハーゲン到着。すばらしい。うちの乗員、一人足りないことなど大した問題では無いらしい。正直いつもと違いが全くわからなかった。水と乾パンの備蓄の減り以外。
 すぐさま交易商に積荷を売りに行き、ふっかけ勝負を挑んだ。あっさり敗北。貧乏人には結構大きな金額だったので貴様には売らんと気分的には捨て台詞を残し、リューベックに旅立つ。実は勝負前の景気付けに大麦買ってしまった為、4日分しか食料が積み込めてないのであまり動けない。リューベックでミルクを飲んで気分を落ち着かせ、すぐさまコペンハーゲンへリベンジの為に引き返した。
 再び、交易商の親父にふっかけ勝負を挑んだ。・・・がまたも敗北。泣きながらリューベックを目指す。酒場でマスターに絡みながらミルクを自棄呑みし、コペンハーゲンへとんぼ返り。
 交易商の親父に更にリベンジの吹っかけ勝負を挑む。さすがに根気負けしたのか勝利!親父がやれやれといった顔で苦笑いをしているのがちょっと気になるが、商人たるもの矜持だけでは飯は食えない、時には泥を啜ってでも生きなければならない局面もあるのだ。うちの水夫が泥啜ってる時もわたしはミルク飲んで生ハム食べてるが、やはり苦楽は共にしなければいけない。今回は儲かったので帰りの船旅では乾パンと安ビールでの乾杯を許すことにしよう。

 ロンドンへの帰路を辿っているとエリシアが地中海からこちらへ向かっているとのことで、ロンドンで会うことにする。途中アムステルダム経由の予定だったが、なぜかブリテン島の西岸についてしまったので、そのままロンドンへ向かう。

 先についていたエリシアと再会し、注文していたつけぼくろと縫製のレシピを受け取り代金を支払う。なぜかちょっと焦げていたのが気になるが、その分値引きがあったのでまぁ、よしとしよう。その後、仕入れてきた商品をバザーで売りさばくというので互いの商売繁盛を祈りつつ別行動を取り、さっそくレシピ片手に材料集めに走る。

 まずアムステルダムに向かい、生地集め。高っ、普段97〜103%程度を推移してるのになぜ今に限って140%とかなってるんだ。背に腹変えられないのでとりあえず仕入れておき、プリスマへ向かい元になる服を仕入れる。高い。泣。
 材料が集まった♂物をとりあえず作ってみる。ああ、たしかに大成功ですよと言ってくれる結果だけあって元の仕入れた服よりは高性能になってるけど、これが売れるかと言われるとちょっと微妙。このままこの服作りつづけたら間違いなく破産する。

030405 175644.jpg
 既に材料は赤字で仕入れてしまったので立ち止まれず、次の目的地オボルドへと向かう。縫製修行をやりだすとどんどん深みにハマっていくような気がする・・・。